開発者インタビュー新サービス《みるハコ》編

  • JOYSOUND

カラオケ機種『JOYSOUND MAX GO』の開発者にインタビュー。
今回は注目の新サービス【みるハコ】について伺いました。

  • 株式会社エクシング 松本 海(左) / 伊藤 智也(右)

心臓バックバクだった。泣けた。

みるハコの開発コンセプトや狙いをおしえてください。
また、構想はどのくらい前からあったのでしょうか?

伊藤
本格始動はここ2~3年ですが、構想自体は…10年前くらいからですかね。

松本
歌う以外の価値や楽しさを提供したいっていうことと、カラオケの個室の強みっていうのが絶対あるはずだっていう想いがあって、そんな話をずーーっとここらへん(松本・伊藤)でしていました。

伊藤
ビジネス研修とかリーダー研修とかあるじゃないですか。
そこで出したのがこのアイデアです。
親会社(ブラザー工業)のEinyという大容量コンテンツを配信できるシステムがあって、それを使ってなにかビジネスができないかという話の中でした。

あとは、ここ数年で世の中の環境も整ってきたという事もありますね。
インフラの進化だったり、お客様も色々な用途でカラオケルームを使うようになってきて、音楽業界でもライブが活性化してきたり、そういった色々な事が上手く、時流が掛け合わさって、ちょうどタイミングだよねということで今回のJOYSOUND MAX GOへの導入が決まりました。

余談ですがEinyのシステムは、カラオケルームで歌う姿を撮影&配信できる「うたスキ動画」や、誰でも簡単にカラオケが配信できる「うたスキミュージックポスト」でも活用しています。

そもそもどうして「みるハコ」という名前になったのでしょうか?

伊藤
まず、カラオケルームを歌うだけの場所から変えたいという想いがあります。

歌わない人、歌が苦手な人にとっても楽しんでもらえる空間を提供したいとずっと思っていて、僕は「うたスキ」サービスの立ち上げに関わっていたんですが、「うたスキ」を立ち上げた時も同じ想いで、歌唱力の良し悪しだけではない楽しみを提供したいという想いはずっと持っています。

そこから、観るコンテンツの意味を込めた「みる」。
あと、カラオケルームをライブハウスのようなエンタメ空間にしたいというところから、ライブハウスって箱ともいうので「ハコ」。

これを組み合わせて「みるハコ」という名前になりました。

サービスインして一段落したかと思いますが、どんな心境ですか?(開発を振り返って)

伊藤
最初にやったライブ・ビューイングが今年6月の『ランティス祭り』(※1)でした。
本当にドキドキして、心臓バックバクでした。

松本
バックバクだったけど、ちょっと泣けたね。

伊藤
感動しましたね。

『ランティス祭り』のとき、実は1店舗で少しトラブルがあったんです。
僕がちょうどその店舗でお客様と一緒に見ていたので、配信が終わった直後に皆さんの前で謝ったんですが
逆に拍手を頂いたり、帰り際に「ありがとう」と声をかけてもらったり。凄く感動しました。

トラブルがあったことは本当に申し訳なかったんですが、会場に行きたくても行けなかった人たちにとって、やっぱりいい環境だったんだと。
嬉しかったですね。

8月に行った『花譜』(※2)も感動しました。
『ランティス祭り』はパーティールームに集まって観る形だったんですが、『花譜』はカラオケルームという個室での初開催で、相性もとても良くて。
社内からも「こんなすごい時代になったのか」という感想を聞きました。

松本
ライブ・ビューイング以外に、いつでも観られるオンデマンド配信もあるんですが、映画『リング』(※3)が好調でした。
こういった長編映像をカラオケルームで観るというのはまだ馴染みがないと思うんですけど、反応を見ているとカラオケルームならではの大画面や大音量で観ることで臨場感がより生まれ「怖いけど楽しい!」「騒ぎながら観られて楽しい!」とか。
もう20年くらい前の作品になりますが、家で観るのとはまた違う楽しみ方をされていると感じます。

あと、音楽系のコンテンツでは映像を見たあとにそのままルームでカラオケを歌って盛り上がったという話も聞きました。
この辺りはカラオケルームならではの楽しみ方ですよね。

長編映像を観にきたのをきっかけにまたカラオケに通うようになりました、という意見を頂いたり。
歌わなくても楽しい空間を提供するために、こういった観て楽しむコンテンツを配信していますが相乗効果があったりして、嬉しい反応ですね。

開発で苦労したところやこだわった点はありますか?

松本
社内でのこう…反応と言うか、開発を進める前段階のところで、賛同を得るのが大変だった記憶があります。

伊藤
本当にこんな(カラオケで歌わない)世界があるのか?っていう意見はありましたね。
社内の説得はすごく大変でした。

今だと社内でも「あるある」って共感を言ってもらえるんですが、当時は「スマホで観られるじゃん」とか「映画館でいいじゃん」とか、「そもそもコンテンツは集まるの?」とか、そういう意見はすごくありました。

一般的に机上で考えると、「わざわざカラオケに行く?」って思われがちでしたね。
そこを確固たる信念を持って、絶対ニーズはあるんだって言い続けました。

松本
あと社内調整をしながら、エビデンスを重ねていきましたね。
何度もトライアルをやってアンケートをとったりとか。
カラオケ以外でどんなことしてますかっていうリサーチを重ねていったりとか。

開発の前段階のタイミングだったけど、コンテンツホルダー様にこういう世界観どう思いますかって話に行ったとき、「コンテンツが持ち運べる時代にお前ら何やってんの」みたいな反応になるかと思いきや、意外とどの会社さんも反応が良くて、逆に色々アイディアを頂いたり。

開発を進める中で、そのアイディアを盛り込んだり課題を解消したり、コツコツ進めてきて今に至ります。

伊藤
あと、技術的には、演奏している音を生配信するってカラオケの悲願だと思うんですよ。
それがいよいよ実現まで来たかっていう。
ここの苦労は配信システムを担当したネットワーク系担当者やブラザー工業が一番語れると思います。

本来ライブ・ビューイングを行う場合、配信会場に1本1本専用回線を引かないといけないところを、うちはEinyがあるから各カラオケルームへの配信が可能になっている。
この技術は本当にありがたいなと思っています。

松本
コンテンツに関して今回はライブ・ビューイング・ジャパン様、レコチョク様と、それぞれ第一人者の企業とアライアンスを組めたことが非常に大きいと思います。

最初は自社だけで独自でやりきる事も考えていたんですが、やっぱりカラオケを歌うだけじゃない場としていくっていうのは自分たちだけじゃ相当の年数やパワーが必要になる。

もしこれらを、開発からコンテンツの調達まで全て自前でやった場合、今回の機種では実現できていなかったと思います。

レコチョク様には「RecTV」というアーティストの公式ミュージックビデオが観られるサービスをJOYSOUND向けに提供していただいたことで、今JOYSOUND MAX GOでは3,000曲以上のミュージックビデオをカラオケルームで観て楽しむことができます。

僕らはカラオケ屋なので、餅は餅屋じゃないですけど、パートナーさん達のおかげで色々実現することができました。

本当に感謝しています。

伊藤
よく製品発表会とかで各社の社長が登壇して握手とかしてるじゃないですか。
ああいうのをずっとやりたいなって思ってました(笑)

お客様には、どのように使っていただきたいですか?

松本
家でテレビを観るような感覚で仲間内でわいわい楽しむのも良いですし、同じ趣味の友達と応援上映をするのも良いと思います。

例えば、色んな所に住んでいるけど、中心地なら集まりやすいとか、家に呼ぶのはちょっと…と言う時とか、家で騒いだら近所迷惑になっちゃうかなとか、長く居るとご飯どうするとかもありますけど、カラオケなら個室で食事もできますし、コンテンツもある。
色々な楽しみ方をして欲しいと思いますね。

伊藤
小さいお子さんがいるママさん・パパさんにも使ってもらいたいですね。
個室なのでもしお子さんがはしゃいでも他のお客様に対して気を使わなくていいですし、気兼ねなく楽しんでいただけると思います。

最後に、今後の取り組みについてお願いします。

伊藤
今後は音楽に限らずスポーツや演劇など様々なエンタメを配信していきたいと思っていますので楽しみにしていて欲しいです。
歌が苦手でもみなさん自由に色んな形で楽しんで欲しいなと思います。

松本
歌わないけどカラオケに行くという世界が当たり前になってほしいです。
歌う楽しみはもちろん今まで通りありますが、歌わなくても楽しいという+αの楽しみ方を提案していきたいと思っています。

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